医療過誤訴訟を立証する難しさ

最高裁判所が発表している「医事関係訴訟に関する統計」によれば、現在では年間1千件あまりの医療過誤訴訟が提起されているとされていますが、民事訴訟のなかでもかなり難しい部類のものにあたります。
その理由としてはいくつか挙げられますが、まずは被害者である患者のカルテ、検査結果のデータ、レントゲンなどの画像といった証拠については、すべて病院が握っているため、改ざんのおそれがあります。このため、訴訟の準備段階から、裁判所に証拠保全を申し立てるなどの工夫をしなければなりません。
また、運良くこうした証拠が手に入ったとしても、一定の医学知識がなければカルテなどを読み込んで相手の主張の矛盾を暴くことは困難です。そこで、弁護士に協力してくれる協力医を探すことになりますが、医療という狭い業界に身を置いていながら、被告である相手の医師の不利益になるような役目を引き受けようという人は少なく、ここにも困難がともないます。
さらに、訴訟の内容があまりにも専門的かつ高度であるために、裁判が長期化することが多く、訴訟にかかる経費の重さとともに、時間だけがむなしく過ぎていく状況に耐えられるかどうかといった、原告側の忍耐強さも要求されるということがあります。

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